身近なデータの分析 全国の待機児童数をQlikViewで分析してみよう(後編)

身近なデータの分析 全国の待機児童数をQlikViewで分析してみよう(後編)

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前編につづき、待機児童のデータを分析してみましょう。
前編で作成したチャートに色々な設定を加え、さらに見やすく使いやすいアプリケーションにしていきます。

前編をご覧になってない方は、先に前編をご覧ください。
身近なデータの分析 全国の待機児童数をQlikViewで分析してみよう(前編)



ユーザーインターフェースのカスタマイズ

それでは、ユーザーインターフェースに変更を加えていきましょう。
前編で作成したドキュメントを開いてください。

リストボックスに集計値を表示する

前編で以下のような折れ線グラフを作成しました。
折れ線の頂点にマウスのカーソルを合わせると、値を確認できます。
たとえば、下図を見ると、2010年の東京都の0~5歳人口は594,121人であることが分かります。
analyze-taikijidou2-101
マウスカーソルを合わせなくてもいいように、グラフ中に個々の値を追加してみましょう。
※この設定はあとで、もとに戻します。
チャートのプロパティを開き[数式]タブを開きます。
[データ点の値]にチェックを入れ、[OK]ボタンをクリックします。
analyze-taikijidou2-102
しかし、表示する棒や線の数が多い場合、値は表示されません。
analyze-taikijidou2-103
地域などで絞り込み、線の数を減らすとグラフ中に値が表示されます。
analyze-taikijidou2-104しかし、値が表示されたとしても、表示が重なってしまい、一部の値は読み取ることができません。
そのため、棒や線の数が多い場合、グラフ中に個々の値を表示するのは、あまりおすすめできません。

設定をもとに戻しておきましょう。
[データ点の値]のチェックを外しておいてください。また「地域名」の絞り込みは解除しておいてください。

では、個々の値も確認したい場合はどうするかというと、単純にストレートテーブルやピボットテーブルを追加するのですが、集計値を一つ表示するだけであれば、リストボックスを使用するのもおすすめです。

それでは、リストボックスに集計値を追加してみましょう。
「地域名」のリストボックスを右クリックし[プロパティ]を選択します。
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[数式]タブで[追加]ボタンをクリックします。
analyze-taikijidou2-106
以下の数式を入力し[OK]ボタンをクリックします。
Sum(値)
analyze-taikijidou2-107
数式が追加されました。
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ソートの設定も追加しましょう。[ソート]タブを開きます。
[数式]にチェックを入れ、[降順]を選択します。
「Sum(値)」と入力して、[OK]ボタンをクリックします。
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リストボックスに集計値が追加されました。並び順も集計値の大きい順になっています。
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さらに数式は複数設定できます。
再度「地域名」のプロパティを開き[数式]タブを開いてください。
[追加]ボタンをクリックし、以下の数式を設定してください。
Rank(Sum(値))
数式作成後、画面下部の[上へ]ボタン[下へ]ボタンを使って、下図のように配置してください。
Rank関数の方を上に配置します。
analyze-taikijidou2-111Rank関数はランキングの順位を表示するものです。

ランキングも追加されました。
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右端の表示が切れてしまっているので、横幅を調節しましょう。
ランキングと集計値のあいだにマウスカーソルを合わせてください。
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左にドラッグして、集計値の方の横幅を広げてください。
analyze-taikijidou2-114
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このように集計値を一つか二つ表示するだけであれば、リストボックスを使うのも、省スペースに集計値をまとめることができて良い方法です。


面グラフによる積み上げ表示

ここまでで折れ線グラフが作成できましたが、折れ線グラフだと全体の傾向がつかみにくい場合があります。
たとえば、以下のグラフであれば、全国レベルで乳幼児の人口が減っていることが、すぐに読み取れると思います。(ほぼすべての都道府県で減少傾向にあるため。)
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しかし、地域によって増加傾向にあったり、減少傾向にあったりすると、全体としての傾向は一気につかみにくくなります。
たとえば、「育児の時間」→「育児の平均時間(女)」を選択してみてください。
これを見ても、育児の時間が全体として増えているのか、減っているのか分からないと思います。
analyze-taikijidou2-201全体の累積値を見たいとき、棒グラフの場合は、積み上げ棒グラフを使用すると思います。
折れ線グラフの場合は、値を積み上げた面グラフを使用できます。

チャートのプロパティを開いてください。
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[スタイル]タブで[面]のスタイルを選択します。
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これだけで面グラフになりますが、より分かりやすく表示するにはソートの設定も変更する必要があります。
[ソート]タブで、並び順を[昇順]に変更します。
[OK]ボタンをクリックしてください。
analyze-taikijidou2-204積み上げ表示では[昇順]にすると、値の大きいものが上に表示されます。

面グラフが作成できました。全体の傾向がつかみやすくなったのではないでしょうか。
女性が育児にかける時間は、全体として増加傾向にあるようです。
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「0~5歳人口」と「保育所入所待機児童数」も確認してみてください。
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とくに「保育所入所待機児童数」は、積み上げ表示にしたことで、各地域が全体に占める割合も大まかにつかめるようになったと思います。
下図を見ると、待機児童は上位の数件が、多くの割合を占めていることがわかります。(都道府県による差が大きい。)
だいたい、上位4件(東京都~沖縄県)までで全体の50%程度を占めていそうです。
上位10件ぐらいまで含めると、全体の80%~90%程度を占めていそうです。
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面グラフの編集

ここまでで面グラフができましたが、これをさらに見やすくできないでしょうか。
たとえば、上の面グラフを見て、2011年の待機児童数が約2万6千人であることが、すぐに分かるでしょうか。

グリッド(グラフ中の罫線)を追加などして、もっとY軸値を読み取りやすくしてみましょう。
チャートのプロパティを開き、[プレゼンテーション]タブを開きます。
[半透明]にチェックを入れてください。
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[目盛線]タブを開き、[グリッドの表示]にチェックを入れます。
またグリッドの色をすこし濃くした方が見やすいため、[グリッドの色]をクリックして色を変更します。
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[色の設定]画面で右上の部分をクリックします。
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色を濃くします。[赤][緑][青]を60前後(下図では64)にすると見やすいです。
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[OK]ボタンをクリックします。
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また、あまり一般的ではありませんが、時系列グラフではY軸を右側に表示するのもおすすめです。
[位置]から[右(上)]を選択します。
以上で設定は完了です。[OK]ボタンをクリックしてください。
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面グラフが変更できました。
まず半透明になっているため、グリッド線が透けて見えます。これによりY軸値を読み取りやすくなります。
また、Y軸が右側に移動されています。これはあまり一般的ではありませんが、今回は最近の値(グラフの右端)を読み取りやすくしたかったため、Y軸を右側に移動してみました。
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自動最小化によるチャートの切り替え

面グラフを使用することで、折れ線グラフよりも全国レベルの傾向はつかみやすくなりましたが、今度は逆に各地域個別の傾向は確認しにくくなってしまいました。
全国の傾向と地域別の傾向、両方を把握できるように、折れ線グラフと面グラフを両方使用したいと思います。

[クイック切り替え]を使用することで、異なるチャートタイプ(たとえば棒と折れ線)を切り替えることができますが、折れ線グラフの中で、線と面を切り替えるのは、この機能ではできません。

[クイック切り替え]を試してみましょう。
※この設定はあとで、もとに戻します。

チャートのプロパティを開き、[基本設定]タブを開きます。
画面右の[クイック切り替え]で[棒グラフ]と[折れ線グラフ]にチェックを入れます。
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棒グラフを積み上げ棒グラフにするために、一度[棒グラフ]を選択します。
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[スタイル]タブで[積み上げ]を選択します。
設定後[OK]ボタンをクリックします。
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[クイック切り替え]を設定すると、チャートの右上にボタンが追加されます。
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このボタンをクリックすることで、チャートの種類を切り替えられます。
analyze-taikijidou2-305しかし前述のとおり、折れ線グラフの中で線と面を切り替えることはできないため、[自動最小化]の機能で代用します。
設定をもとに戻しておいてください。
まず、チャートの位置とサイズをすこし調節します。
チャートの高さを小さくしてください。
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チャートの高さが小さくなると、Y軸の目盛りが間引かれていきますので、下図を参考にチャートの下部を引き伸ばして、Y軸の目盛りを調節しておくと見やすくなります。
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[高さ]を「546」ぐらいに設定すると、ちょうどいいサイズになります。
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チャートのタイトル部分(灰色の部分)をダブルクリックします。
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チャートが最小化され、左上に移動します。
ドラッグして右側に持ってきてください。
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チャートを複製します。
最小化されたチャートを一度クリックして選択します。
「Ctrl」+「C」→「Ctrl」+「V」でコピー&ペーストします。
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複製されたチャートは、もとのチャートとぴったり重なっています。
一つを右側に移動してください。
analyze-taikijidou2-312analyze-taikijidou2-313
二つのチャートを選択します。
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右クリック→[プロパティ]を選択します。
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[キャプション]タブで画面右下の[自動最小化]にチェックを入れます。
[OK]ボタンをクリックしてください。
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最小化されたチャートをダブルクリックして、もとのサイズに戻してください。
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さらに、最小化されたもう一方のチャートをダブルクリックして、もとのサイズに戻すと、自動最小化が動作します。
[自動最小化]が有効な場合、チャートのサイズをもとに戻したときに、他のチャートが自動的に最小化されます。
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チャートが二つできましたので、片方を折れ線グラフにします。
最小化したときに左側にくる方のプロパティを開きます。
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[基本設定]タブで[ウィンドウタイトル]に「線」と入力します。
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[ソート]タブで[降順]を選択します。
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[スタイル]タブで[折れ線]のスタイルを選択します。
以上で設定は完了です。[OK]ボタンをクリックしてください。
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折れ線グラフができました。
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本題とあまり関係ありませんが、面グラフの方も[ウィンドウタイトル]を変更しておくと分かりやすいでしょう。
analyze-taikijidou2-324analyze-taikijidou2-325
以上でチャートはすべて完成です。
折れ線グラフと面グラフを切り替えて、全体の傾向と個別の傾向を両方確認できるようになりました。


データの分析

以上でアプリケーションは完成ですが、さいごにデータを眺めてみましょう。

人口と待機児童

「カテゴリグループ名」から「人口と待機児童」を選択して、各カテゴリの値を見てみましょう。
※画像をクリックすると拡大します。

「人口総数」は若干増加しているようですが、「0~5歳人口」は減少傾向にあります。
ただし折れ線グラフを見てみると、東京都に関しては「0~5歳人口」も若干増加しています。
「保育所入所待機児童数」は、増減がはげしく全体としての傾向は一言では言えませんが、前述のとおり上位数件の都道府県が多くの割合を占めていることは分かります。
上位の都道府県は、東京都、大阪府などの大都市が多いようですが、沖縄県も4位に含まれています。



共働き世帯

「カテゴリグループ名」から「共働き世帯」を選択して、各カテゴリの値を見てみましょう。

「普通世帯数」はかなり増加しているようです。さきほど確認した「人口総数」よりもかなり増加率が高いようです。(右肩上がりの角度がきついです。)
つまり世帯数の増加は、人口の増加だけでは説明がつかないということになりますが、近年核家族化、晩婚化などによって世帯数が増えているということのようです。
「共働き世帯数」はここ15年ほど、ゆるやかに減少しています。
しかし「共働き世帯(6歳未満の子供あり)」は、逆にゆるやかに増加しています。
さらに折れ線グラフを見てみると、待機児童数上位の都道府県では、明らかに増加傾向にあります。

ここまでの内容をまとめておきます。
乳幼児の人口は減っているが、東京都では乳幼児の人口も増えている。
乳幼児の人口も共働き世帯も減っているが、乳幼児のいる共働き世帯は増えている、とくに大都市において顕著。


育児の時間、家事の時間

「カテゴリグループ名」から「育児の時間」や「家事の時間」を選択して、各カテゴリの値を見てみましょう。

育児の時間は女性も男性も増加していますが、とくに男性において増加が顕著です。とは言え男女で比較するとやはり女性の値の方が高いですね。
※単位が分からなかったため、具体的に何時間・何分といったことは分かりませんでした。
育児の時間の有業者版です。働く女性の育児時間がかなり増加しているようです。
また、育児の時間はすべて沖縄県が一位である点も興味深いです。
こんどは家事の時間です。
「家事の平均時間(有業者)(女)」が減少傾向にあります。働く女性に関して言うと、家事よりも育児に時間を割く方が増えてきたようです。



保育所と保育士

「カテゴリグループ名」から「保育所」や「保育士」を選択して、各カテゴリの値を見てみましょう。

保育所については、どう読み取ればよいか判断が難しいですが、保育士の人数は増えているようです。



幼稚園・認可外

「カテゴリグループ名」から「幼稚園・認可外」を選択して、各カテゴリの値を見てみましょう。

沖縄県では認可保育園よりも、幼稚園や認可外保育園の利用が多いようです。


さきほどから再三に渡って沖縄県が目立っていましたが、どうやら待機児童の問題は、東京都、大阪府、愛知県といった大都市の問題+個別の問題を抱える沖縄県という構図のようです。
そして、大都市では乳幼児のいる共働き世帯が増えているようで、単純に少子化だから待機児童が減るといった話ではないようです。

以上で、今回のチュートリアルはすべて終了です。
お疲れ様でした。


振り返り

今回はQlikViewを使用して待機児童のデータを分析しながら、リストボックスやチャートの設定についてご覧いただきました。
以下に今回取り上げたプロパティをまとめます。
  • リストボックス [数式]タブ
    リストボックスに数式を追加する。今回は集計値とランキングの順位を表示するために使用した。
  • リストボックス[ソート]タブ
    並べ替えの設定。今回は[数式]で設定した集計値の順に並べ替えるために使用した。
  • チャート [基本設定]タブ[ウィンドウタイトル]
    ウィンドウのタイトル(チャート上部の灰色の部分)に表示する文字列の設定。
  • チャート [基本設定]タブ [クイック切り替え]
    棒、折れ線、円などを切り替えて表示できる。
    ただし、折れ線グラフの中で線と面を切り替えるようなことはできない。これをしたい場合は[クイック切り替え]で代用する。
  • チャート [数式]タブ[データ点の値]
    初期設定:無効
    チェックを入れるとグラフ中に値が表示される。
    ただし、棒や線の数が多い場合は、値は表示されないため、値を表示したい場合はストレートテーブルかピボットテーブルを使用することが多い。単純にいくつかの集計値を表示したい場合は、リストボックスに数式を追加する方法もおすすめ。
  • チャート [目盛り線]タブ[位置]
    初期設定:[左(下)]
    Y軸の位置の設定。
  • チャート [目盛り線]タブ[グリッドの表示]
    初期設定:無効
    有効にするとグラフ内にグリッド(罫線)が表示される。
  • チャート [キャプション]タブ[自動最小化]
    初期設定:無効
    有効にすると、表示の重なる複数のチャートにおいて、一方を最大化したときに他方が自動的に最小化される。
  • 折れ線グラフ [スタイル]タブ[面]のスタイル
    積み上げ表示により面グラフを作成する。
  • 面グラフ [プレゼンテーション]タブ [半透明]
    初期設定:無効
    有効にすると、面が半透明になる。グリッドが透けて見えるようになるため、Y軸値を確認しやすくなる。
  • Rank関数
    ランキングの順位を表示する。
    Rank(数式)


最後に…

前後編と非常に長いチュートリアルだったと思いますが、最後までご覧いただいたみなさま、ありがとうございました。
今回とくに学んでいただきたかったのは、チャートの効果的な使い方についてです。

途中で出てきた面グラフの[半透明]の機能などは、ただグラフの見栄えを良くする機能と思われがちですが、グリッドが透けて見えるためY軸値が確認しやすくなるという実用的な効果があります。(折れ線グラフでは半透明にならないことからも、[半透明]がこれを意図した機能であると想像できます。)

このようにQlikViewには、きちんと実用的な意味を持った機能が多く含まれており、逆に無駄な機能はあまりありません。
綺麗なチャートを作成することももちろん重要だと思いますが、それがどう作用するのか、どう役に立つのかを意識していただけると、QlikViewをさらに上手く活用できると思います。

お疲れ様でした。