身近なデータの分析 貯金や住宅ローンなど、日本人の貯蓄と負債を見てみよう

身近なデータの分析 貯金や住宅ローンなど、日本人の貯蓄と負債を見てみよう

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すこし前にトマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』が話題になりましたが、もっと身近なところで日本人の収入や貯蓄のデータを、見てみたいという方も多いのではないでしょうか。

総務省の「家計調査」では、日本人の年収や貯蓄、負債などのデータが公開されています。
今回はこのデータをQlikViewに取り込んで分析してみましょう。

「年収や貯金は平均してどれぐらいあるものなのか?」「株式などの証券はどれぐらい保有しているものなのか?」「住宅ローンなどの負債はどれぐらいあるものなのか?」など、日本人の貯蓄と負債に関するさまざまなデータをQlikViewで分析してみます。

画面ショットが多いため記事が長くなっていますが、やっていることはごく単純な操作です。
QlikView初心者の方もぜひご覧ください。

手っ取り早く結果が見たいという方は、こちらをご覧ください。
「家計調査」集計結果

データの確認とデータロード

出典

出典:総務省「家計調査 貯蓄・負債編」
「家計調査 貯蓄・負債編」は、政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されています。
他の年月の統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020102

今回使用するデータは、総務省「家計調査 貯蓄・負債編」を次世代統計利用システム(http://statdb.nstac.go.jp/)のAPI機能を使用して取得し、弊社で抜粋・加工したものです。

現在、「次世代統計利用システム」は廃止され、総務省のデータは「e-Stat」にて公開されています。
もとのデータはXML形式のデータですが、それをQlikViewで加工しExcel形式に変換しています。

 

クレジット
このサービスは、次世代統計利用システムのAPI機能を使用していますが、サービスの内容は総務省統計局又は独立行政法人統計センターによって保証されたものではありません。

ファイルのダウンロード

ここでは以下のファイルを使用しますので、ダウンロードしてください。
kakeichousa.zip
Zip形式ですので、ダウンロード後解凍してください。
以下のExcelファイルが含まれています。
kakeichousa-101
家計調査.xlsx 「家計調査」シート
今回使用するデータです。
kakeichousa-102「出典」のシートは出典をまとめたものなので、QlikViewに取り込むデータは「家計調査」のシートのみです。

データの取り込み

それでは、QlikViewにデータを取り込んでみましょう。
まずはファイルを新規に作成し、[ロードスクリプトの編集]画面を起動します。
kakeichousa-103
ロードスクリプトの最下行にカーソルをあわせて、[テーブルファイル]ボタンをクリックします。
kakeichousa-104
「家計調査.xlsx」を選択してください。
kakeichousa-105
ファイルウィザードが起動します。
[テーブル]から「家計調査」シートを選択し、[列見出し]から「先頭行」を選択します。
今回は単純にデータを取り込むだけですので、[終了]ボタンをクリックしてください。
kakeichousa-106
ロードスクリプトが作成されました。
[OK]ボタンをクリックします。
kakeichousa-107
データを取り込んでみましょう。
[リロード]ボタンをクリックします。
kakeichousa-108
ファイルを保存してください。
kakeichousa-109kakeichousa-110
データが取り込まれました。
[閉じる]ボタンをクリックしてください。
kakeichousa-111

ユーザーインターフェースの作成

それではユーザーインターフェースを作成していきましょう。

まずリストボックスを作成します。
シートの余白で右クリックし[リストボックスの追加]を選択します。
kakeichousa-201
「世帯」「単位」「四半期」「年齢」の、四つの項目を選択し[OK]ボタンをクリックします。
kakeichousa-202
リストボックスが作成されました。
kakeichousa-203
下図を参考に位置とサイズを調節してください。下図とまったくおなじでなくても構いません。
kakeichousa-204

つづいてテーブルボックスを作成します。
シートの余白で右クリックし[シートオブジェクトの追加]→[テーブルボックス]を選択します。
kakeichousa-205
「調査項目番号」「調査項目」「調査項目レベル」「単位」「値」の、五つの項目を選択し[OK]ボタンをクリックします。
kakeichousa-206
テーブルボックスが作成されたら、下図を参考に位置とサイズを調節してください。
こちらについても、下図とまったくおなじでなくても構いません。
kakeichousa-207
以上でユーザーインターフェースは完成です。

データの分析

データの分析1(持ち家率や世帯人員)

それではデータを分析していきましょう。

まずデータを絞り込みます。
「世帯」から「二人以上の世帯(2000年~)」を選択します。
「四半期」のリストボックスを一番下までスクロールし、最新の日付である「2014年7~9月期」を選択します。
kakeichousa-301
家計調査のデータには、さまざまな種類の値が含まれているため、単位にもさまざまな単位があります。
異なる単位のデータを並べて見るのは分かりにくいため、単位を一つに絞りましょう。
「単位」から「%」を選択し、さらに「年齢」から「29歳以下」を選択します。
kakeichousa-302「持ち家率」などが確認できます。
では、年齢を変えて「持ち家率」を見ていきましょう。
「年齢」から「30~39歳」を選択します。
kakeichousa-30330代では持ち家率が57%まで上がりました。
「年齢」から「40~49歳」を選択します。
kakeichousa-304持ち家率がさらに上がり、40代では73.6%に達します。

50代と60台も見てみましょう。
「年齢」から「50~59歳」を選択します。
kakeichousa-305
「年齢」から「60~69歳」を選択します。
kakeichousa-306
これを見ると、やはり年齢とともに持ち家率が上がっていくようです。
大まかにですが、20代が25%、30代が50%、40代が75%程度と捉えておくとよさそうです。

こんどは「単位」から「人」を選んでみます。「世帯人員」などが確認できます。
20代に絞り込んでみます。
kakeichousa-307「18歳未満人員」が1.08人ですので、平均して一人子供がいるということになるかと思います。
※もちろんこれは「世帯人員」ですので、”両親と子供”以外の世帯構成もありえます。

30代以降も見てみましょう。
30代
kakeichousa-308
40代
kakeichousa-309
50代
kakeichousa-31050代で「18歳未満人員」が0.42人まで下がりました。

60代
kakeichousa-31160代では「18歳未満人員」がさらに下がり、0.09人となります。親が60代になるころには、だいたい子供は成人したり、一人暮らしをはじめたりしているということだと思います。

データの分析2(年収と貯蓄)

では、ここからが本題です。
「単位」を「万円」に絞り込んで、年収や貯蓄、負債を見ていきます。

まず年代別に「年間収入」を見てみましょう。
20代です。
kakeichousa-401
30代
kakeichousa-402年収が増えていきます。

40代
kakeichousa-403
50代
kakeichousa-404
60代
kakeichousa-40550代まで年収は増えていきましたが、60代では定年退職のためか年収が減少します。

70代
kakeichousa-40670代でさらに年収が減ります。ただ個人的には、70代でも年収が457万円あるというのはかなり意外でした。

つづいて貯蓄を見ていきたいと思いますが、このデータでは調査項目にレベルが設定されています。
レベル1のものが最上位の項目で、レベル2以降は上位のレベルに紐づく、より詳細な項目となります。
つまり、「貯蓄」の中に「金融機関」があり、さらに「金融機関」のなかに「通貨性預貯金」や「定期性預貯金」があるということになります。

まず貯蓄関連の調査項目に絞り込んでみましょう。
「貯蓄」から「外貨預金・外積」までを選択します。
kakeichousa-407

20代の貯蓄です。
kakeichousa-408261万円の貯蓄があるようです。
「通貨性預貯金」(いわゆる普通預金)が135万円、「定期性預貯金」(いわゆる定期預金)が80万円となっています。
20代で定期預金を組んでいるしっかりした方も多いようですね。自分が20代だったときのことを思い返し、すこし反省しました。

また、これらをあわせると215万円(=135万円+80万円)となります。
261万円のうち215万円を、銀行や郵便局に預けているということになりますので、貯蓄の多くを銀行や郵便局に預けていると言っていいでしょう。

対して、表の下の方に目を移してみると、「生命保険など」が35万円、「有価証券」(株など)が5万円となっています。
やはり20代のうちは、貯蓄のほとんどを銀行や郵便局に預けていると言えそうです。

つづいて30代の貯蓄です。
kakeichousa-409かなり貯蓄が増えました。
あいかわらず預貯金が多いようですが、「生命保険など」の額が119万とかなり増えていますね。
同時に、株などの「有価証券」も38万円にまで増えています。
内訳としては株式が76%(=29万円/38万円)、債券が21%(=8万円/38万円)ですね。
わずかながら、外貨預金などもあるようです。

40代
kakeichousa-410貯蓄が1000万円を超えました。構成は30代とそれほど変わってないように見えます。
ただ「通貨性預貯金」が275万円、「定期性預貯金」が352万円と、定期預金の方が多くなっていますね。

50代
kakeichousa-41140代と大きく変わりませんが「定期性預貯金」や「生命保険など」がさらに増えていますね。

60代
kakeichousa-412貯蓄が2000万円代に乗りました。50代から一気に800万円程度増えています。データからは読み取れませんが、退職金が関係しているかもしれませんね。

70代
kakeichousa-413
以上で貯蓄の分析を終わります。
かなり大まかにですが、以下のようにまとめられそうです。
  • 20代は、預貯金が80%、生命保険などが13%
  • 30代は、預貯金が70%、生命保険などが20%、有価証券が6%
  • 40代以降は、預貯金が60%、生命保険などが25%、有価証券が10%~15%

データの分析3(負債)

さいごに負債を見てみましょう。

本題と関係ありませんが、ロックの機能を使用してみましょう。
今回の「世帯」や「四半期」のように、あまり値を変更しないリストボックスはロックしておくと便利です。
まず「世帯」のリストボックスを右クリックして、[ロック]を選択します。
kakeichousa-501
同様に「四半期」と「単位」のリストボックスをロックしたら、ツールバーの[クリア]ボタンをクリックします。
kakeichousa-502
これで、ロックした箇所以外の選択がクリアされます。
kakeichousa-503※ロックを解除したい場合は、右クリック→[アンロック]を選択するか、ツールバーの[アンロック]ボタンをクリックしてください。

「年齢」から「29歳以下」を選択します。
テーブルボックスで「負債」から最下部の「月賦・年賦」まで選択します。
kakeichousa-504

20代の負債です。
kakeichousa-505529万円のうち、「住宅・土地のための負債」が472万円を占めます。つまり負債の大半が住宅ローンということのようです。
住宅ローンが472万円というのは、かなり少ないように感じますが、20代の持ち家率が25%程度だったことを思い出してください。
つまり、家を持っているのは四人中一人ということになりますので、値を四倍して2000万円程度の借入があると考えられそうです。
※もちろん、実家を相続したケースなどもあるでしょうから、持ち家がある=住宅ローンがあるとは言い切れません。

30代以降も見ていきましょう。
30代
kakeichousa-506
40代
kakeichousa-50730代、40代で「住宅・土地のための負債」が1000万円程度になっていますね。

50代
kakeichousa-50850代で負債が減りはじめます。

60代
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70代
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50代から徐々に住宅ローンの額が減りはじめ、70代までには大体完済するようですね。
いずれにしても、すべての年代において負債の大半が住宅ローンであると言えそうです。

最後に…

今回は「家計調査」のデータをQlikViewで分析してみました。
分析と言っても難しいことはせずに、リストボックスとテーブルボックスを使ってデータを確認していっただけですが、それでもおもしろい発見があったのではないでしょうか。

今回データを取得してきた「次世代統計利用システム」には、本当に多くのデータが公開されています。確認してみたところ現時点で3万4千件の統計表が公開されていました。
多すぎて逆に探し切れないほどですが、またなにか面白いデータを見つけたら、このブログ上で紹介したいと思います。

お疲れ様でした。

「家計調査」集計結果

結果を一覧で見たいという方のために、QlikViewで作成したピボットテーブルの画像と、そのExcel版を掲載しておきます。
家計調査集計結果(Excel版)
kakeichousa-601
政府統計の総合窓口(e-Stat) 総務省「家計調査 貯蓄・負債編」
他の年月の統計表一覧 政府統計の総合窓口 GL08020102
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/GL08020102.do?_toGL08020102_&tclassID=000000330004&cycleCode=2&requestSender=dsearch

次世代統計利用システム
http://statdb.nstac.go.jp/